視察日:2018年6月20日(水)
視察先:Agatha Snellen(ユトレヒト)/多重知性論教育の学校
※お子さん2名体験入学
学校紹介タイム
プレゼンテーションをしていただいた部屋は、学童の部屋でした。
現在の生徒数:220人ですが、
屋根裏部屋で6人からスタートした学校です。
学校の管理者は、親がボランティアで行っています。
親が管理組織をつくって、学校を管理しているとのことでした。
■学校のテーマ(大事にしていること)
はじめに「頭・心・手」
・21世紀のスキル
・改善思考
・お互い協力
・コミュニケーション
・一緒に問題を解決する力
2013年に、新しい教育を探していました。
本・教材ではない学びを求めていたときに、
多重知性理論(Vierkeerwijzer)との出会い導入しました。
■多重知性論教育(VierKeerWijzer®)
VierKeerWijzer®(フィールキールバイザー: 4 倍賢くなるという意味)はアメリカの心理学者ガードナ博士の多重知性論
(MI)を教育の形にしたもので、オランダの元小学校校長 Marco Bastmeijer 氏が開発した。
人は一人ひとり個性がある。それぞれ得意な分野があり、思考も異なる。人は、できれば自分が好む分野や思考から行動したい。VierKeerWijzer は、人がそれぞれが持つ好奇心や動機から、いろんな学びができることを学校教育に実現させたもの。従来の学びのあり方を覆す、斬新的な学び。
子どもたちは、VierKeerWijzer の時間、自分の好きな知性を自分で選び、それを通して、地理や歴史、生物などテーマご
とに教科を学ぶ。地理や歴史、生物など、各教科がテーマになっていて各テーマに数週間取り組む。子どもは自分で好きな課題カード(知性で分かれている)が選べ、各自その課題に取り組む。子どもは、自分でそのテーマに関する知識を自分で探し収集して、地理や歴史、生物を習得していく。教師はコーチ的存在である。クラスにはテーマに関する「大きな問い」がいつくかあり、それに向けて、クラス全員で、各々の課題カードに取り組んで学びを広め、発表しながら、それぞれが学んだ内容をクラス全員で共有していく。
教師は、子どもが取り組む様子を見守り、フィードバックし、子どもが学びをさらに深めるような、好奇心を高めるような質
問をする。子どもと会話する中で、子どものテーマに関する視点や知識を確認し、把握する。
自分の好きな課題を選べるので、学びの主体は子どもにあり、子どもたちは、とても生き生きと自分の課題に一生懸命に
取り組んでいる。(VierKeerWijzer®説明資料より)
■多重知性論教育・VierKeerWijzerの特徴
多重知性論教育(VierKeerWijzer®)は、4つのステップがあります。
①まず質問があります。低学年な3~4つ。中・高学年は、5つです。
②そこから、自分には何があうかなと考え、自分にあう課題を選びます。
③質問をもとに、実践・経験します。
④学びの結果が、自分の学びの結果となります。
クラスで学びの結果を共有することでクラスの学びの結果にもつながります。
各クラスに大きな問いが5つあり、子どもが課題を選びます。
※学ぶ→手を動かす/体験/発見する/遊び
※子供の動機からはじまる学び
・内側からのモチベーション
・動きがある
・主体性(自分の意思で選んでできる。そして最後までやり遂げる)
これらが得られる教育になっています。
テーマは2年で1つ設定し、
2年を通してのプログラムになっています。
※グループ1・2/グループ3・4/グループ5・6/グループ7・8
■Vierkeerwijzer部分の評価について
・数字の評価はつけない
・成績はつけない
・子ども自身が、次どうしたいかを考える
→子どもと面談し、学びを確認していきます。
学校の様子
■リラックスキッズプログラム
リラックスキッズプログラムは、自己肯定感を高める、リラックスするメゾッドの1つです。
実際に、先生が体験させてくださいました!
呼吸に意識を向けたり、チャクラの話があったり・・・
自分を落ち着かせたりするトレーニングにもなっているそうです。
最後に、宝箱が回ってきました。
宝物に入っていたもの。
宝箱を開けたら宝物があるよ!と言われ、宝箱をあけたら鏡が・・・
自分の顔が映っていました。
宝物は、自分だよ!という体験。
感動しました^^
■人間関係トレーニング(カンヤトレーニング)
こちらの学校にもありました!
オランダでおなじみの「カンヤトレーニング」の帽子とぬいぐるみ^^
いじめ対策のトレーニングで、オランダの多くの学校で実施されています。
安全・安心・落ち着ける場所を創っていくために、
シュチエーションを読みきれる力、ロールプレーなどを通じたトレーニングしていきます。
■グループ1・2のクラス
「何が芸術を作っているか」という問いをみんなで探究しているそうです。
芸術とはなにか
どんな芸術があるか
芸術家はどこからアイディアをもってきているか・・・
に取り組んでいるそうです。
※町の美術館と協力して、芸術教育を行っています。
それぞれの場所で、それぞれの学習中です。
自分が何をするか、意志表明(選択)してから、始めます。
自分の名前のマグネットを貼っていました!
教室内には、様々な視覚ツールがありました。
■グループ3・4
みんなで劇の練習をしていました!
あるお話を、劇で表現するという課題に取り組んでいるチームだそうです。
■グループ5・6(体験入学)
<ステップ1>
・子供が5つの質問に答える
※先生は、子供が学ばないといけないことを頭にいれておく
(学習指導要領を元にしてある)
・子どもたちが「5つの質問」を決める
・テーマの壁を作る
<ステップ2>
子どもが、自分が何を知っているかを考え、共有する
<ステップ3>
実際に経験する
試したり、つくったりする。
4-6週間かける。
自分が面白そう!と思う問いのカードを選ぶ。
<ステップ4>
自分が学んだことを発表する
テーマでやってきたこの振り返り
プロセスの振り返りも行う
全員で共有する
他の人から学ぶ、学びあう
自分で課題を選び、課題に取り組みます。
学んだことは、テーマの壁にどんどん貼っていくのだそうです。
今回、お子さんが体験入学しました!
用意してくださった紙^^
多重知性理論の教育を、体験中です。
何の勉強をしているのか、教えてもらって・・・
大人も体験中!
■グループ8
卒業前に、劇をするらしく、その練習中でした。
練習を観覧させてもらいました!和気あいあい♪
日本の練習タイムによくあるピリピリした空気や、先生の怒声は一切ありませんでした。
先生との省察タイム
午後は、先生方と一緒に視察の時間を振り返りました。
「多重知性理論を体験しながらの振り返りましょう」
と体験させていただけることに!
質問は、先生方が考えてくださったようです。
自分が取り組みたい質問カードを選び、省察と発表の準備!
いざ、発表タイムです。
同じ学校、同じ時間で視察したのに、体験したことや心に残ったことは一人一人違い、
それを表現する方法も、一人一人違うんだということの価値を肌で感じました。
一人一人の発表に耳を傾けて、共有しあう時間。
とてもとてもよかったです。
体験してはじめてわかることがある!
体験の機会を創ってくださった先生方に、心からありがとうございます。
おまけ
今回の視察では、日本の学校の様子をプレゼンテーションする機会をいただき、
オランダの先生方に日本の学校を紹介しました。
プレゼンテーションは、視察メンバー全員が、それぞれ担当して作成!
頑張りました!
オランダの教育現場のことをもっと聞きたい!知りたい方は・・・