【オランダ視察編】特別教育(スぺシャルニーズ)小学校(2019年10月7日)

視察日:2019年10月7日(月)
視察先:プリンセンホフ特別教育小学校(キリスト教立)

今日の学校は、
スペシャルニーズの子ども達が通う、
特別教育学校。

日本には、無い位置づけの学校です。
朝6:40に集合して、
みんなで学校まで移動しました。

オランダ、10月の早朝は、真っ暗&寒い!

朝のミーテング

クラスが始まる前の、ミーティングタイム?

といっても、オランダの学校の朝は、どこもこんな感じです。

カフェ&コミュニケーションタイム♪

10月7日は、オランダで先生の日!ということで、
先生方へプレゼントが渡されていました!

学校紹介

まずは、学校のお話をお聞きします。
挙育理念や、方針、ビジョンなどをじっくりお聞きしました。

途中で、パイが・・・・

後ほど見学する「料理クラス」で作ったものらしく、
食べてくださいね!と・・・

焼き立て、サクサク!!
とってもおいしくいただきました^^

■スペシャルニーズの学校とは

オランダの教育の考え方を実践している学校。
この中で成長できる、空間を作ってあげています。

学習障害
発達障害
学習&発達障害(両方の子供たち)
の子どもたちが通う学校です。

9クラスあります。

・4-7歳 低学年
・8-10歳 中学年
・10-13歳 高学年

118人の学校でスタートしましたが、この人数で手いっぱいです。

25-30人/1クラスがオランダの普通の学校の人数ですが、
この学校の定員は、15名/1クラスです。
※国で決められているわけではない

普通の教育とプリンスホフ教育は違います。
普通の学校についていけなかった子が来るので、
その子たちに必要な教育を実施しています。

実際のものを使って学びにつなげています。(紙とペンだけではない)
実践を通じて学ぶスタイルです。

例)料理をする中で計算を学ぶ
授業のスタイルは、クラスの壁をとって、子どものレベルにあわせて行います。
※学年の壁をとるイメージ

■入学・編入の際に行うこと

子どもが編入してきたときにテストを行います。(IQテストのようなもの)
→どれだけ学ぶ力があるかを確認します、
→4年コース(中等教育の4年コース)のどこに行くのかを、先に決めます。

子どもがどのコース行くかを決めて、そこに行けるように授業をプログラムしていきます。

子どもの状況を把握するプロファイル作っていきます。
作成する際は、親とも話します。
それにあわせて教材、教育を決めてていきます。
担任とティーチャーズコーチで決めます。

低学年は、年齢でクラスをわけています。
※言葉(国語)と数(算数)は必須です。

中学年は、子供がここにいて安全だなと思うことが大事です。
それにあわせてグループをわけます。

感情や行動のレベル、情緒の発達などをみて、
国語と算数が同じようなレベルになるようにしていきます。
国語が優位な場合は、国語で算数が同じようなレベルになるようにサポートしていきます。

国語で算数があがるような教材で学習をします。

高学年は、進学するコースにあわせてグループ分けをします。
グループの中で最高の自分が出せるように教育していきます。

オランダの教育・・民主的に生きていく力を育てていくもの
→自分の考えを持ち、主体的に選んで考えていく力
→一人の市民として、生活していく力

■義務教育の考え方

義務教育は、子どもと親の両方の義務です。
4-18歳の子どもは、学校へ行く義務があり、
4-18歳の子どもを、親は学校へ行かせる義務があります。

家庭の状況(経済状況)関係なく、学校へ行かなければなりません。
※例えば他の国からあらゆる理由で入国し、滞在許可が出たら、子どもはすぐに学校に行く必要があります。

子どもは18歳までは、子どもです。
子どもの責任は、親にあります。

■編入のタイミング

・4歳になる前(保育園)において言葉が遅いなど
・学校の先生からの進言

50%が、グループ4-6で編入してきます。

地域の中に、教育支援の委員会があり、そこに申請し、審査後、認められたら入学します。

■サポートの段階

①basicな支援(基本的な授業ができること、先生、教材など)

②普通の教育ではできない。もっとほかの教材でサポートが必要。
ヘッドホンなど、特別に必要なものがある。
※全部細かく書かれていて、どんなサポートがあるのか親も見ることができます。

③ ①②でサポートしきれない場合は、
専門家(言語・理学療法など)交えてミーティングを行います。

④さらなるニーズが必要なことがわかったら、外部の専門家を交えて【1つのテーブル】でミーティングを行います。

⑤外部のところで子供のトレーニングを行います。

⑥それでも足りない場合は、他の学校を考えていきます。

■教育支援の形

半年に1度、見直していきます。

学校は、9月スタートです。
子どもが入ってくると、子供の発達をはかります。(算数・国語)

その後、レベルにあわせて、グループを作ります。
保護者の話し合いを行います。
内容は、親は子供にどんな教育を望んでいるかということについてです。

この話し合いは、普通の学校でも行われているもので、
高学年は子どもも同席して行われます。

(1年の流れ)
9月~子どもにあった教育
11月にふりかえる話し合い(親と先生)

2-3月 test(学力テスト)→その後親と話し合い
5月 さらにニーズが必要な子がいれば親と面談
6月 test→また話し合い(親)

子どもたちが一番大事、中心にあります。

授業の視察

■7.8歳くらい/レベルグループ3

スペリングの授業

■9.10.11歳/ご褒美の日

家からタブレットやゲームをもってきていい日だそうです^^

■市のプロジェクト

ごみの処理をする人が授業をしていています。

学校で捨てられるドリンクパックの量←2万7千個だそうです!!!!

こちらにも、ホワイトボード!

■sportクラス

35分/1lesson
6・7・8歳
3回/1week

■料理クラス

グループ3、でも4・5歳レベル

協力することを学んでいます。

お互いを注意し、声をかけあいます。

お互い助け合いから学びます。
作ること、そして片付けることと一連の流れの中で学びます。

フィードバックすることも学んでいきます。

コックの服装の子→ほかのクラスから来ている子で、
教えあう目的で、他のクラスから招いています。

終わった子もみててね
助けが必要なら、助けてあげてね。

■group1/2/総合学習

特に言葉が遅いが多いので、読み聞かせを行います。

協力して一緒に何かすることを学びます。

■ここにもありました視覚ツール!!

自分の課題が終わった子は、自由な活動を・・・
自分で何をやるか決めて、ホワイトボードに意思表示。

そして、遊びます^^

電子黒板に、残り時間や課題など、見えるように。
これも、本当にどこの学校に行っても、ありますね。

■国語の授業

学校内の様子

学校の中には、視察ツールがあちこちにありました!
階段にも・・・・

廊下にも・・・・
廊下で、体を動かしながら、このツールを使って、アクティビティをすることもあるそうです。

算数もできますよ!

■教室内

教室内の視覚ツールも、たくさんありました!

 

先生方との対話にて

■先生の養成について

この学校法人の場合は、
教員養成は2-4年です。

教員養成大学卒業後、3年イントロダクションプログラムがあります。
①教室の中でのcoaching 授業のcoachingを年に4回
②新人の先生の対話の時間(お互いのつながりとは何かというテーマなど、お互いを理解しながら話す)
③学級経営、保護者の対応、タイムマネジメント

教員としてbasicから、教員としてのproffessionalへ。
学び続けていくために、Octantアカデミーがあります。
研修は、教員専用のものを実施しています。

Octantアカデミーは、
先生それぞれが持っている専門から、研修をつくっています。
算数の専門家が集まって学びあう等のプラットフォームとなっているます。
※先生たちが、画をつくったりしているそうです。

coachの育成、本当に質の高いコーチの育成が必要です。
質の高いcoachinを実践できることが大切です。

■話してくださった先生のビジョン

いい教育をする先生を育てること、
自分を常に育て、高めていくこと
お互いの関係を保つことを大切に実践していくことと。

今学校が取り組んでいるテーマは、
子どもの計画は1年単位ですが、学校の計画は、4年間で策定できればと考えています。

目標は、すべての学校がecoスクールになることです。

①生徒が提案して持続可能なスクールな学校つくりをしていく
②持続可能な考え方で実践していく

日本の学校で取り組んでいること等と交流しながら、
ecoについて地球単位で考えていくことが大切だと考えています。

質疑応答より

■先生不足について

オランダは、先生不足です。
小学校の先生より中学校の先生のほうが給料がいいです。
仕事の量も多いです。

学校の時間が終わってから先生のミーティングは、
学校組織につながるり、チームのつながりに繋がっています。
離職率をさげる効果を見ています。

■子どもの可能性を最大に発揮させてあげるために

・尊敬
・責任
・つながり
・安全
・成長
・尊重(建物や物に対しても)

ルールがあるというトレーニングを大切にしています。

■いじめについて

オランダの試みとして、
子ども同士のけんか・いやがらせが起きた場合は、
クラスで振り返ります。

→状況
→行動
→感情

この3つの視点から振り返ります。

必ず年齢に合わせて行うことが大事です。

大人になったとき、気が合わない人と仕事をすることだってあるので、
子どもが一緒にコミュニケーションをとりながら行うことが大切です

小さな時から、何度も何度も話す機会を作っています。
学校はあらゆる練習の場だと考えています。

おまけ:教材の多様性

学校で使っている教材をたくさん見せていただけました!

視察の感想

スペシャルニーズの学校という位置づけが、日本にはない学校だなと思います。

どんな子だたったとしても、その子が育っていけるように。
教育を等しく受けられるように。

そのために、必要ならば学校を創る、分ける。

その動きの中で生まれた学校なんだとということに、驚きました。

先生方の支援の流れを聞かせていただいて、
どこまでいっても、構造がしっかりしているなぁと感じます。

「どうやって」という部分が、きちんとシステム化されているんですよね。

子どもの現在地を確認できたら、
その子にどんな支援が必要か。

いくつかの視点からみて(システム化された)、判断していく。
それも、あらゆる人の視点を交えながら、判断していく。

システムに人を当てはめるのではなく、
システムという基準を効果的に使って、人をサポートする。
当てはまらなければ、当てはまらない部分が何か、何は必要か。
何ができるか。

そうやって、子どもに必要な支援や教育をデザインしていくことが、
当たり前に行われていることを、本当に感動します。

もしかしたら、今度予算の関係で、スペシャルニーズの学校がなくなっていくかも・・
とうお話も出ていたので、また変わっていくこともあるのかもしれませんが。

私は、スペシャルニーズの学校に、たくさんの大事なことを教えてもらっているように思っています。

素晴らしい体験とご縁に感謝です。