【オランダ視察編】テクナジウム教育実践 中学・高等学校(2019年10月9日)

視察日:2019年10月9日(水)
視察先:Melanchthon Bergschenhoek/メランヘトン ベラハスケンクフック中学・高校(キリスト教私立)

視察3校目もすごかった。
オランダの中等教育学校へ。

6年生と5年生のコースがあり、
テクナジウムという教育を導入されている学校でした。

テクナジウムは、コラボレーション、問題解決、創造的かつ批判的思考、ICT スキル、情報の収集と処理など、あらゆる種類の 21世紀のスキルを訓練します。テクナジウムの良いところは、あらゆる種類の技術専門職を紹介され、テクノロジーが提供するあらゆる可能性についてよく理解できることです。したがって、あなたは自分の才能を発見し、技術的な研究に向けた幅広い準備を整えることができます。(学校のHPより)

ご参考:オランダの教育制度

学校の紹介

15年前にスタートした学校で、9年前に今の校舎ができました。

過去に、アフリカ、オーストリア、ノルウェー、オランダから視察ありました。

ほかの学校と少し違うところは、
・教室が大きい
・ガラスが多い
・教室の中が見える
・廊下も学び場

中で授業しているのが見えるし、
外(廊下)で学習している生徒もみえるデザインになっています。

■テクナジウム導入の背景

校長先生は、2つの学校を兼務しています。
(別の学校の校長と、ここの学校の校長を兼任している)

学校法人の中に、9つの学校があります。

15年前、ペンとノートを持って、学校をつくるわくわくミーティングをしました。

小学校は、どこも一緒で、
小学校でよくできる子でも、
最後の2年は、あまり学びがない状態でした。
(7年生と8年生)

よくできる子は、勉強がすべてわかって、できてしまうので、
授業中や学校でやることがなくなってしまう状況がありました。

12歳以降の学校は、理論か実践、どちらかの学校へ分かれていきます。
(6年生コース、5年生コース、4年生コース)

この学校は、どちらかというと理論の学校であり、
6年生と5年生のコースを持つ、
学術大学、応用大学へ進学することができる学校です。

オランダの文科省は、

理論+実践=両方するように!と言っていて、
理論と実践の割合は、学校それぞれが決めることができます。

この学校としては、実践をほかの学校や企業と協力してやりたい!!と考えています。
国も奨励しています。

■新しい学校の流れ

今、新しい学校の考え方(システム、タイプのようなもの)が出てきています。
10-14歳の子供を教育する学校を作ろう!という流れです。

新しいシステムが、オランダの新しい流れになってきています。
学校では、インターシップをしながら学ぶシステムになっていて、
子どもが12歳から↑この新しい学校編参加できるようにしたいと考えています。

12歳から20歳まで、企業と関わりながらにしたい!というアイディアを持っています。
中等職業教育・高等職業の壁をとれたらと思っています。

■日本の学校とオランダの学校の比較

日本の高校は、オランダの5年生コースの学校レベルです。(修了証)
※世界基準でチェックしたら、このレベルらしいです。

10-14歳児の秀才児教育にもなっています。
※オランダでは、秀才児教育は特別支援に入ります。

秀才児の学びの意欲が落ちる前に、1人1人のニーズにあわせてた教育が実施できればと考えています。
※新コースが創られるイメージ

テクナジウム部分はテストなしで、

作った作品、プロセスなどが評価対象になる、それらで評価します。

■学校理念

1、つながりから成果

人間としてのつながり
学校へ期待、うれしい、楽しい→それにあってはじめて成果が出る

2、私たちは学校のために学ぶのではない

自分の人生のために、学ぶのだ
卒業できて、卒業証書(ディプロマ)→社会で確かに必要
人間としてスキル・技能・社会人になって活きていく

3、知識に意味を与える

知識だけではなく、実践を通じて意味を持たせる
テクナジウム
物理
化学
生物
芸術
が含まれている

オランダは高校卒業する時に、卒業試験で受けるテストを選べます。
いくつかの教科の中から自分で選びます。

経済の授業を選ぶ子は、自分の会社をスタートすることができます。
・起業(会社を実際に登録する)
・経大に行って交流・経済を学びます。
・製品を作って売る、ビジネスプランの作成

会社設立後、生徒自身が会社をアピールし、
株を買ってもらえるようにプレゼンするイベントがあります。

「私も、いくつかの会社の株を持っているんですよ!」と教えてくださいました。

3.4人のチームで会社を創ります。
会社を持つことを実際にどういうことか、体験から学びます。

5.6年、どちらのコースでもでき、16-18歳(だいたい)の生徒たちが授業を選んでいます。
親が自分の会社を持っている子が多いです。

■カリキュラムの構成

※始業などのチャイムなし

75分 授業
15分 休み
30分 ランチタイム

授業の様子

■3年(中3)/経済の授業

デジタル教科書を使用しています。

■英語の授業

1年(中1)/ 英語のクラス

ドイツから22名、交換留学が来ています。

校舎の中、コーナー、フロアーが決まっていて、
フロアーごとにディスプレイなどが異なります。

1年 英語
2年 フランス
3年 ドイツ

フロアーで、テーマの世界観になるようなイベントを行っています。

1-3年、自分のパソコンを持ってきます。

教科書もあります。

語学の本は、自分のレベルにあったものを読みます。
言語の本の読んだ感想を、口頭諮問で聞いていきます。

■音楽の授業

musicクラス2年生

グループにわかれ、自分のレベルにあったものに挑戦します。
グループごとに1つの音楽をやります。

■自習している子供たち

5年生プロジェクトは、【新しい会社を設立する】だそうです。
明日の夜のプレゼン準備したそうで、(3人で)
「ろうそくを売る会社」にすることを決めたそう。

1年間で80時間、学校外でやる課題があるそうです。
算数の課題も(明日試験があるから)やっていました。

■卒業試験について

音楽、美術でも卒業試験を受けることができます。

4年生から、卒業試験の教科が選んでいきます。

・7-8教科を選ぶ
・4つの言語
・オランダ語は必須
・英語は必須
・ドイツ語
・フランス語

ギムナジウムのコースの場合
・ラテン語必須
・ギリシャ語必須

その他選択できる科目
・数学
・生物
・物理
・化学
・美術(2Dor3D)
・音楽
・演劇
・経済
・企業経済
・歴史
・地理
・社会
・研究 ※テクナジウムの場合
・設計 ※テクナジウムの場合
・倫理

■様々な活動

生徒自身がバンドを組み活動をしています。
自主的に練習していおり、コンサートもあります。

オープンシアターの日があります。
生徒たちが自分で希望して出るイベントです。
参加できる人数(15人限定)が決まっているため、オーでディションがあります。
※クラシック、バンド、劇など

■テクナジウム

テクナジウムは、研究と設計を実践的に行います。
(リサーチ&デザイン (R&D) コースのことです)

テクナジウムは、コラボレーション、問題解決、創造的かつ批判的思考、ICT スキル、情報の収集と処理など、あらゆる種類の 21世紀のスキルを訓練します。テクナジウムの良いところは、あらゆる種類の技術専門職を紹介され、テクノロジーが提供するあらゆる可能性についてよく理解できることです。したがって、あなたは自分の才能を発見し、技術的な研究に向けた幅広い準備を整えることができます。(学校のHPより)

プロジェクトは、全部学校の近くの企業からの依頼です。
プロジェクトは、1グループ4人で取りかかります。

何かの問題がある、課題があるときは、生徒たちが自分たちで解決していきます。

(プロジェクトの例)

①住みながら仕事ができる/オフィス兼家

②海岸でエネルギー発電
※ファンオート(オランダの大企業)からの依頼

③動物園→毎年来る依頼
ゴリラの飼育エリアの設計

デザイン・計算・設計をするだけではなく、実践して作っていきます。

■企業と学校をつないでいる人は・・・

テクナトーという人がいます。(コーディネーターのような人)

<テクトナーの役割>
①教育カリキュラムがしっかりなっているか、管理する専門家です。
②外に行って企業とコンタクトを取ります。

現在は150-200社とコネクションがあり、
プロジェクトは、8weekか9weekで終わります。

途中でプレゼンテーションをし、最後にもプレゼンテーションを行います。

最初のアイディアを生む(学生)→企業が実現する

テクナジウムの時、先生はサポートする役です。
生徒を基本的に助けません。
コーチのように、手伝いません。
※サポート&困ったときに関わります。

(困ったとき)
生徒たちは、自分たちで助けてくれる人を探します。

・必要な先生を通じて聞いてみる
・専門家にサポートをお願いしてみる
・低学年は自分か、先生かで探してみる
・高学年、自分で探す

生徒たちは、誰とでも協力できる力を身につけていきます。

■1年・2年・3年の活動

(グループの決め方)
最初の年のグループ:先生が決めます。
2年目のグループ:自分でペア選ぶ(二人組になる)、この二人組を先生で2つずつかけあわせて、4人のグループにする。
3年生のグループ:自分で自由にグループ作ってOK!!

テーマも最初は選べないが、3年生くらいから自分で選べるようになります。

説明を担当してくださった先生は、
delft工科大学卒業して、教員養成大学を卒業し、研究と設計の先生になったそうです!!

■4年・5年・6年の活動

4年:設計→研究を半年かけてのプロジェクト行う
5年:選べるPJを半年かけてプロジェクト行う
6年:プロジェクトを選べる

4人1組で1つのグループを創り、4人でやりたい分野を探します。

4人でそれぞれ
・4人の強み
・4人の弱み
・何を学びたいのか
確認していくそうです。

4年生から、自分で企業から課題を見つけてきます。

プロジェクト始まる前に、電話・メールなど、アポイントメントをとるための必要スキルをワークショップで学びます。
生徒に責任があります。
プロジェクト中、企業からのコンタクトもあります。

プロジェクトの終わりにプレゼンテーションがあり、依頼者を集めて、プレゼンを行います。

(ルール)

選べる場合でも、同じ分野からばかり選ぶのはNGです。
建設ばかり、研究ばかりなど偏った選択はNGです。
いろんな分野から選ぶようにします。

(例)SKグループからの依頼
依頼内容:脱出ゲーム(今流行っている)の新しいゲームを考える!

■テクナジウムの予算はどうなってるのか?

学校で余った予算をテクナジウムへ回しています。
テクナジウムをとることで受けない授業の分予算があまります。

テクナジウム、修学旅行など、経済的な理由で参加できないということが無いようにしています。

(学校側として)
テクナジウムのプロジェクトは、全部ボランティアです。
企業からの資金援助は無しです。
企業スタンスは、それぞれで、積極な場合もあれば、積極的じゃない場合もあります。

生徒はたくさんのことを学びます。
※特にクリエイティブに考えることについて実践的に学びます。

■先生が現場で苦心すること

・プロジェクトの質を評価すること
※プロジェクトの質がそれぞれだから

・デッドラインに間に合うかどうか

・依頼の中身がむずかしい
(例)目の見えない子が入学してきた!
その子が自由に学校を行き来できるように、ナビゲーションを設置しよう!!等

■プロジェクトの例(5年生コースの5年生のプロジェクト:卒業年次)

1)動物園からの依頼

oceanエリアを新しくする
※若い子たちが行って楽しいoceanエリアのデザイン設計を考える
※2つ別のチームだけど、同じテーマだから一緒に取り組み中

student plan
・インタラクション
・体験、テクノロジーがあるといい

自分たちでアポイントメントとって、動物園を見に行って考えた。

→必要ならメールや電話をしている。

)宇宙にあるプラスチックごみを回収する機械を考えるプロジェクト
依頼:オランダの企業/ゴミ回収の会社
依頼内容:→月のごみを片付けるmission!!

■6年生、卒業後の進路

TU(デルフト工科大学)に進学します。

進学した後、ここでやっていてよかった!!

「The Ocean Cleanup」活動の子も、卒業生です。

1年生は全員テクナジウムをやります。
2年生から、テクナジウムをやるかどうか選びます。
3年生には、卒業試験でやりたいかどうか選びます。
※理系の教科を卒試に入れたい子が選択すします

■テクナジウムを選択している人数

6年 32名/83名中

3年 50名

■先生の数

4人(うち一人は器具管理)+コーディネーター

ニック先生は、高学年担当で週に3回、テクナの授業を担当しています。
生徒のレッスンは、20時間/1weekです。

■美術のクラス

昔の美術は、絵画と彫刻で分かれていました。

今の分類は、
・2D
・3D
・オーディオビジュアルコンピューター
・生地、布、マテリアル

で分かれています。

6年コースの2年生のクラスの授業の様子

テーマ:自分の思い出を入れる箱を作る

思い出:中に、外に、どちらに表現されていてもいい

8回かけて作ります。
今日は5回目のlesson

質疑応答タイム

この学校は教員不足ではありません。
この学校は、新しい先生がすぐ見つかります。
※オランダは、教員不足だけど、ここは違う

テクナジウムの学校は92校あります。

オランダは知識経済で、知識を売っています。
だからこそ、テクノロジーは欠かせないと考えています。

海面下に半分がある国で、地球温暖化、水害もあります。

なぜ、世界で活躍できるのか

1、知識あり、ノウハウ
2、言語をしゃべれる(英語・ドイツ語・フランス語)
3、オープン、だれとでも友達になれる

■学校で取り組んでいること

・授業の目標を根底に、授業を組んでいく
・個人で自分のカリキュラムを学びを、管理できるシステム

20lesoonの内、5lesoonは自由に自分で選べる、決められるようにしたいと思っています。

そのために、コーチをつけるシステムにしたいと考えています。

学校の安全は、国が重要視し、常にチェックしています。
学校の中で、いじめの有り無し関係なく、定期的にいじめのlesoonがあります。
ドラッグ・セックスも同様にlessonがあります。

学校の中の安全は、定期的に国がチェックしにきます。

■子どもの支援について

①特別支援コーディネーター
②ソーシャルワーカー
③行動矯正士
④子ども家庭を守る国(行政)の担当者→家庭内の問題の場合
⑤義務教育の担当者→子どもが学校に来ない場合

これらの人が学校にいます。

校長先生の考え

教育は常に変わっていかないといけないものだと考えています。

これからもずっと変わっていく必要があります。

導入時は、小さなチームをつくります。(校長先生も入る)

実際に導入したら、賛成する先生にはどんどん実践してもらいます。
そして、保護者の理事会、生徒の議会で一緒に話し合います。(仲間に入ってもらう)

年に6回保護者に連絡(レポートなど)を行っています。

校内のあちこちに・・・

視覚ツールはここでも健在。
人との関りについてのことが書いてあるポスター。

学生の描いた絵があちこちに!
まるで美術館のよう。

こちらもありました。

視察の感想

校長先生はじめ、
先生方、生徒のみなさんがとってもウエルカムで、
たくさんの授業を見せていただきました。

英語の授業
音楽の授業
美術の授業
経済の授業←これすごかった!!

テクナジウムの時間
教室には入りませんでしたが、
物理の授業
数学の授業
も、廊下からみることができました。

中等教育学校に視察に行って、
こんなに授業をみせていただけたのは、
はじめてです。

「学びと社会が繋がっている場所」

どの授業とみてもそう感じましたが、
テクナジウムは、特にそう感じました。

同じ「今この瞬間」に、
・宇宙のごみを回収することのアイディアを自分たちなりに形にし、企業にプレゼンする17歳、
・動物園のデザインを考え、企業にプレゼンする17歳
・自分の会社を創り、株を買ってもらい、会社を経営する17歳(学校に通いながら)

その後、自分たちの街に、自分たちのアイディアと計画の片りんを感じるものが、
実際に出現するということ。

この意味と価値の大きさに、打ちひしがれました。

社会や地球、自分たちの未来に、
どんな立場で、何ができるか。
そのリアルな体験をもとに、大人になっていくということができる場所が、
学校という器の中にある。

The Ocean Cleanup」の活動をしている子(もう大人ですね)は、18歳で起業しています。

教育とは、誰の何のためなのか。

中・高等教育の学校に行くと、深く考える時間になります。

社会に居場所を創る力を創る。

また1つ、大きな宿題をもらった気がしています。

本当に、本当に、本当に、
素敵な学校に
ご縁いただけました。
ありがとうございました!