オランダ流の教育を日本で実践する、1番簡単な方法は・・・

こんにちは、木村祐理です。

オランダの教育現場の様子をご紹介した際に、

「オランダの教育を日本で実践する方法って何ですか?」
「オランダ流の教育を実践とは、どんなことをしているんですか?」

必ずと言っていいほど聞かれます。

オランダの教育や教育現場のあれこれを
ご紹介していく中で、それぞれにやってみよう!と思うことは、
必ず思いつかれるんですが^^

それとは別に、

この質問をいただくと、一番簡単な方法をご紹介することにしています。

オランダの初等教育の柱である、
「子どもが自分で考え、行動し(主体的に)、学ぶことを学ぶ」
こちらに繋がるエッセンスとして。

今日は、家庭でできる1番簡単な方法を、ご紹介していきますね♪

家庭で実践!オランダ流の教育エッセンスする一番簡単な方法は・・・

一番簡単な方法は、子どもに「選択」する機会を提供することです。

もう少し具体的に言うと、
日常のあらゆる場面で、子どもが自分で「選ぶ」機会をたくさん作ってあげること、です。

オランダの初等教育で行われている、
「いくつかの選択肢の中から1つ選ぶ」
「いくつかの選択肢を、どの順番で行うか、自分で決める」
これらは、家庭で実践するのにとても相性がいいです。

そして、慣れてしまえば、特別な技術はいらない!!!
(質問や省察は、体験がなければすぐに実践しにくいかもしれないので)

・年齢にあわせてレベルアップしていける
・何歳からでも、スタートできる

というところもあわせて、個人的にオススメです!!

実際にどんな感じで実践したらいいか、いくつかの例をご紹介していきますね。

ステップ1:「3つのうちから1つ選ぶ」レッスン

オランダの2歳半のクラスから実践されているトレーニングが、
まさに「3つのうちから1つ選ぶ」練習です。

なので、2歳半から実践できますし、
私の体感ですが、もう少し小さな年齢でも実践できると思います。
(ぜひ、試してみてね^^)

家庭でできる場面の例をいくつかご紹介!

①お着換えタイム
子どもが着る服を着替えるときに、1つの服につき、3つずつ用意します。

まずは「靴下だけ」とか「Tシャツだけ」とかがやりやすいかな^^

例えば靴下で実践するとして・・・

靴下3つは、大人が選んで用意します。

・子どもの目の前に靴下のみおく、3つ
・子どもの前に3つ並べて、今日はどれをはく?と聞く。
・子どもが1つ選んだら、選んだものを渡し、他の物を片付ける
・今日は、この靴下で過ごそうね。→靴下はく行動へ。

一番シンプルなものは、こんな感じです。
どうでしょう、イメージ湧きますか???

慣れてきたら、選ぶ服のカテゴリーを増やしてやってみましょう!

Tシャツ3種類
ズボン3種類
靴下 3種類

・子どもの目の前に置く服は、3つ (まずはTシャツだけ並べる)
・それ以外の服は、子どもから見えない場所に置いておく。(自分の背中の後ろとかね。)
・子どもの前に3つ並べて、今日はどれを着る?と聞く。
・子どもが1つ選んだら、選んだ服を子どものそばに。それ以外の服は子どもの見えない場所へ移動。
・次はズボンねと、声をかけつつ、また3つ目の前に並べる。
・あとは、同じことの繰り返し。

全部いっぺんに見せても、情報が多すぎて処理ができません。(発達と関係するので)
必ず、目の前には3つだけおくこと!!!

②食事編
朝ごはんや昼ご飯を選んでもらう

お昼ご飯、今からいう3つの中でどれを食べたいか、1つ選んで。

・うどん
・おにぎり
・パン

子どもが選んだものを、昼食に出す。
(おかずとか、他のものはこちらで決めて出してもOK)

※子どもが食べたことがあるもの、なじみがあるものを選択肢に設定するといいかも~

③絵本タイム
絵本を3冊選んで、子どもの前に持っていく。
・絵本を子どもに並べて見せる。
・どれを読む?と聞いて、子どもが決めた順番で、1冊ずつ読む

④持っていくおもちゃを選ぶ
この3つのうち、1つだけもっていってもいいよ。

3つ選択肢を提示して、選んでもらう。

⑤お散歩編
※家の周りに、十字路や、別れて道があればできるアイディアです。
子どもとお散歩のときに、分かれ道に出会ったら「どっちに行く?」と聞いて、
子どもが選んだ方向を歩く。

※子どもがあまりにも執着が強いものは、はじめは省いたほうがやりやすいです。
おかしとか、おもちゃとかは、子どもの性格によったら手ごわいかも^^;

ステップ2:「3つのうちから1つ選ぶ」&「順番を決める」編

3つのうちから、1つ選ぶが慣れてきたら、
次は、子どもに選んでもらう範囲を増やしていきます。

①絵本タイム編続き・・・
絵本3冊読んであげるから、3冊持っておいでと伝える
・子どもに3冊選んでもらう
・選んで持ってきた本を並べる
・どの順番で読むか、子どもに聞いて順番を決める
・決めた順番どおりに絵本を読む

ステップ3:「5つ以上のうちから1つずつ選ぶ」×「順番を決める」×「時間」編

ステップ1、ステップ2に慣れてきたら、ステップ3に進みます。

※オランダでは、小学校低学年の子どもたちが、
日常的にこのトレーニングを行っているものですね。

ステップ3のポイントは、
・選択肢が5つ以上(はじめは5つ)
・順番を決める
・1日の中でdとか3日間とか1週間とか、時間の概念に触れる

こちらも例を出していきましょう。

①おやつ編

子どもの好きなおやつを5つ買います。
(一緒に買いにいって、子どもに選んで買ってももちろんOKです。)

・子どもの前におやつを5つ並べます。
・月曜日から金曜日まで、どの曜日に何を食べるか選んでもらいます。(どの曜日に何を食べるか決める)
・変更は無しということを伝えます
・あとは、決めた通りの順番で、おやつを出すもしくは、自分で管理できるようにデザインする

②旅行での洋服編

旅行に行く前に、子どもに服の組み合わせを選んでもらいます。

・1泊2日だったら、2パターン。
・その服の通りと順番で、服を着る

③1日の予定と、順番を自分で決める
(計画を自分でたてる)

・図書館に本を返す
・家の掃除をする
・宿題をする
・ゲームをする

この4つの予定をどの順番で行うのか。
タイムスケジュールも含めて、自分で決めて実行してもらう。

実践のポイント

このトレーニングを意図して行っているときは、
「決めたことの変更はなし」というルール設定で実践することをお勧めします。

やりはじめて、変えたい!と思うことも多々出てきますが、
決めたことを変えずに最後までやりきってみる体験を通じて、
自分が何かを選ぶときに、どうしていったらいいかが掴めてきます。

木村祐理オススメ編?

課題設定は、年齢やレベルにあわせてしてあげると、楽しくできると思います。

私がよく使うのは、

「出かけるときの移動ルートを、子どもたちに調べてもらい、判断してもらう」

・いくつ行き方があるか
・どんな違いがあるか

それを話してもらったうえで、
条件設定は、親が行います。

・今回は、なるべく早く着きたいな
・今回は、あんまりお金をかけずに行きたいな
・一番歩くのが少ないのがいいな

等など。

その都度「この条件で!」とオーダーして、
そして、それにあうものをしぼってもらい、一緒に決めていく。

自分たちで調べて、判断して、確認しているので。
移動する時も、楽ですよ^^

ポイント:条件設定は、必ず親がすること

3つの選択肢を選ぶなど、
範囲を決めたり、条件を決めるということは、
必ず「大人」が行いましょう。

全て、子どもに決めていいよ~というのは、
このトレーニングには不向きです。

社会という場所では、
自分で自由に決めれるときもあれば、
すでに条件がある程度決まってしまっているとき、
すべて決められているとき、
様々な状況があります。

あくまで、社会で生きていく練習の1つなので、
いろんな条件、いろんな範囲の制限を体験させてあげればOKです。

省察タイムもあると、なおよし。

体験した後に、どうだったかを振り返る省察の対話が持てるとベストです。
オランダは、この時間までがセット。

「どうだった?」と一声かけてあげるだけでも、
省察になります。

この順番でよかった!と思うこともあれば、
違う順番のほうがよかった!と思うこともあるし、
選んでみてはじめて出てくる感情もあるかもしれません。

自分で判断して
自分で決めて
自分で選ぶ

ということと、その体験を積み重ねることで、
自分が何かを決めるときの基準が、
子どもの中に育ってきます。

その基準は、それぞれの感性から生まれ育っていくもの^^

なので、選んだ内容よりも、
体験と省察の積み重ねが大切だということを
心にとめておいて下さいね。

最後に

オランダの初等教育の柱である、
「子どもが自分で考え、行動し(主体的に)、学ぶことを学ぶ」
それに必要な力の1つであり、
一番簡単に実践できる方法を紹介してみました。

イメージがつきましたでしょうか??

もっと詳しく知りたい!という方は、
オランダの教育現場シェア会をご活用いただければと思います。

そして、今回ご紹介したのは、
あくまでたくさんあるオランダの教育エッセンスのうちの「1つ」です。

これが、すべてではないので、ご注意ください。

そして、日常生活のすべてをこの方法に置き換える!とかも、やめてくださいね~~

自分で全部に好きに過ごす時間もあり、
こういう選択の機会や練習の時間もあり、
全部決められる時間もあり、
いろんな条件のいろんな時間があることは、とても自然で豊かなことなので~

今回、自分で決めたことと途中で変更しないでやるということを書きましたが、
途中で変更しない、できないという体験から学ぶことができた後に、

・変更できる
・変更できない

というアレンジをしてみたり。

あ!と気が付いた時点で、
よりいいものに変容させていく「直観」や「ひらめき」という視点も
大事にできるようにサポートしたりと。

成長にあわせて、
どんどん広げて、広がっていってもらえたら、面白いと思います^^

年齢関係なく、自分で選ぶトレーニングに慣れていなければ、
必ずステップ1から進めてあげてくださいね。
大人も苦手な方は、STEP1からチャレンジしてみましょう~

あ、一番大事なこと!!
家庭での時間は、「おだやかに」「やわらかく」「楽しく」がいいですよね。
子どもにとって、家という空間は安全な場所であることが一番!

だからこそ、

・さりげなく
・できることを、できるときに、できるだけ
・一緒に楽しんで

忘れないでくださいね~~~~!!!
(ちゃんと、きっちりやらなきゃ~~となっちゃう人がいたら気を付けてね。)

希望を見出せる力になる!

私が、オランダのことの選ぶというエッセンスを通じて、

・自分に選択肢がある
・どんなことにもいくつかの選択肢がある、
・どんな時でも、自分で決めて自分で選ぶことができる

ということを体験通じて、知っていくプロセスだと実感しています。
目の前のどんなことにでも、いくつかの道があって、自分で選べて決める可能性があるってことを知っている。

これって、生きていく中で、大きな支えになるんじゃないかなって思うんです。

人生って、何かが重なって、もうどうしようもないかも・・って感じる瞬間があるじゃないですか。
生きていたら、誰でも1度くらいはあると思うんです。

そういうどうしようもない絶望を感じたとしても、
・自分に何か選択肢がある
・どんなことにも、いくつかの選択肢が存在する
・どんな時でも、自分で決めて選ぶことができる

これを肚から知っていることは、
絶望や、ダメだと感じた瞬間の中に、
自分で「希望」や「可能性」に目を向けることにも繋がるんじゃないかな。

オランダの教育現場に触れて、
私が実践してきた中で、一番大きな体感のように思います。

参考になれば嬉しいです^^