感覚過敏を学んで感じたこと|研究と実践のあいだで考えたこと

感覚過敏の研究は、まだこれからの分野だった

3回連続講座の2回目、 「職場での感覚過敏の影響」をテーマにした講座を受講しました。

講師は、発達障害のある方の感覚の問題や運動の困難さについて研究されている、 杏林大学医学部病態生理学教室の渥美剛史先生です。

私は普段、学校に行きづらさを感じている子どもたちや保護者の方と関わっているので、 「感覚過敏」という言葉は珍しいものではありません。

子どもたちの様子を見ていても、

音が気になる子、 光が気になる子、 人の多さに疲れてしまう子。

本当にさまざまな子どもに出会います。

そんな感覚だからこそ、 感覚過敏についてはある程度研究が進んでいるものだと思っていました。

ところが今回の講座で知ったのは、実はそうでもないということで、びっくりしました!!

子どもの研究は増えている。でも大人の研究はまだ少ない

講座の中で紹介された研究の多くは、子どもを対象としたものでした。

一方で、大人、とくに職場や就労に関する研究はまだ十分とは言えないそうです。

感覚過敏という言葉は少しずつ知られるようになってきましたが、研究の世界ではまだまだ発展途上。

私自身、「もうかなり解明されている分野なんだろうな」と思っていたので、びっくり!

社会では、少しずつ少しずつ理解が進み始めている。

でも、科学的な知見はまだ積み上げている途中。

そんな分野なのだということを知ることができました。

実践と研究、どちらも大切

今回の講座で、私自身が改めて考えさせられたこと。

私はどちらかというと、現場で学んできました。

目の前の子どもたちを観察しながら、

「何に困っているんだろう」

「どうしたら安心して過ごせるんだろう」

と考え、試し、また考える。

そんな探究を積み重ねながらサポートをしてきました。

だから今回のように、研究という視点から感覚過敏について学ぶ時間は、とても新鮮でした。

研究では、多くの人のデータを集めて傾向を見たり、効果を検証したりします。

一方、現場では目の前の一人の子どもを見ています。

同じ「感覚過敏」という言葉でも、その現れ方は一人ひとり違います。

だから私は、研究と実践はどちらか一方ではなく、どちらも大切だと思っています。

研究だから見えることがある。

現場だから見えることもある。

その両方を行き来しながら考えていくことが必要なのだと感じました。

配慮だけではなく、その子自身を見ていく

講座では、職場での環境調整や感覚過敏へのさまざまな配慮についても紹介されました。

静かな環境づくり。

在宅勤務。

音への配慮。

感覚を調整するためのツールの活用。

どれも大切な工夫です。

ただ、それらを聞きながら私が感じていたのは、

「これをすれば大丈夫」

という正解はないのだろうな、ということでした。

ある人には効果があっても、別の人にはそうとは限らない。

感覚過敏への支援も、結局は一人ひとりに合わせて考えていくしかないのだと思います。

それは子どもたちへの支援でも同じです。

刺激を減らすことだけがゴールではなく、

自分は何が苦手なのか。

どんな環境なら過ごしやすいのか。

どんな工夫が役に立つのか。

そうしたことを少しずつ知り、自分で選べるようになっていくことも大切なのではないかと思いました。

最後の言葉に強く共感した

講座の最後に先生がおっしゃった言葉が、とても印象に残っています。

「心理・社会・生物、すべての側面で見ていかなければならない」

という言葉です。

私のような立場は、心理的な側面に目が向きがちです。

でも実際には、

本人がどう感じているのかという心理的な側面。

学校や職場、人との関係性などの社会的な側面。

そして身体や脳の仕組みという生物学的な側面。

そのすべてが影響し合っています。

子どもたちと関わっていても、本当にそうだなと思います。

目の前で起きていることを、一つの視点だけで説明できることはほとんどありません。

だからこそ、

「感覚過敏だからこう」

ではなく、

「この子はどう感じているんだろう」

と考え続けることが大切なのだと思います。

正直に言うと、研究結果や統計の話はなかなか難しくて、途中で頭から煙が出そうになりました(笑)。

それでも、普段の実践とは違う角度から物事を見ることができた、とても貴重な時間でした。

研究から学ぶこと。

現場で感じること。

その両方を大切にしながら、これからも子どもたちと向き合っていきたいと思います。