「共に育てる」が前提になる時代へ。若年層の声から見えた、会社と社会のこれから

働き方と子育て、これからの社会のかたち
―若年層のリアルな声から見えてきたこと―

興味深い調査報告を見つけました。

厚生労働省が公表した
「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」。

若い世代が、仕事と家庭をどのように捉えているのか――
そこには、これまでとは違う価値観と、
これからの働き方をめぐる大きなヒントがありました。

「共に育てる」ことは、もう当たり前の感覚に

まず印象的だったのは、
育児や家事を「性別で分けるものではない」と考える人が約7割いたこと。

育休も「1ヶ月以上取りたい」と考えている若年層が多数派で、
「仕事も家庭も、どちらも大切にしたい」という思いが強く感じられます。

「共育て」は、もはや一部の理想ではなく、
日常的な感覚になりつつあるのだと思います。

けれど、その一方で――
「仕事と育児の両立に不安がある」と感じている人もまた、約7割。

この「やりたい」と「でも難しそう」の間にあるギャップこそが、
私たちが今、丁寧に向き合うべき課題なのではないかと思います。

育休は「制度」だけでなく、「組織のあり方」も問われる時代へ

育休や産休を取得する間、給与は支払われても、
職場の実働メンバーは一時的に減る。
業務を回すには、代替要員の確保が必要です。

そうなると当然、企業にとっての人件費は増加します。

これは経営側から見れば、無視できない現実です。
特に中小企業にとっては大きなハードルでしょう。

でも、だからこそ問われてくるのは、
「それでも人を活かす会社であり続けられるか」ということ。

「活躍に応じた報酬や評価が受け取れる」
「一人ひとりが安心して働ける」
そんな社内制度や文化にシフトしていけるかどうかが、
これからの組織の大きなカギになると感じています。

世代間の「感覚のちがい」が、離職や採用難を生んでいる?

最近よく聞く「人が集まらない」「すぐに辞めてしまう」という声。
単なる人材不足ではなく、価値観のミスマッチが背景にあるのでは?と思うことがあります。

上の世代にとっては、
「育休を取る=仕事から離脱する=評価に響く」と思ってきた人も少なくないはず。

表向きは理解を示していても、
「男性が育休を取るなんて…」という本音がまだ残っている場面もあります。

でも、今の若い世代にとっては、
育児も家事も、キャリアも、夫婦で支え合って当然。
そんな感覚で生きている。

このギャップに気づかずに「制度は整っているから大丈夫」と思っていると、
若い人はそっと離れてしまうかもしれません。

「できない理由」より、「何ができるか」

もちろん、制度を整えるにも、風土を変えるにも、
時間もコストもかかります。

でも今、企業に求められているのは
「何ができるか」「どこからなら動けるか」を考える姿勢ではないでしょうか。

誰かが抜けても組織が回る設計、
育休中もつながり続けられる工夫、
復帰後のサポート体制の見直し。

小さな一歩でも、真摯に取り組む姿勢があるかどうかで、
会社の「未来の仲間」からの信頼は、きっと変わってくるはずです。

「理想の働き方」が実現できたとき、人は前向きになる

調査では、「理想の働き方が実現できたとき、モチベーションが上がる」と答えた人が74.4%
逆に、理想の働き方ができていない人は、子育て期間中の離職意向が24.3ポイント高いという結果も出ています。

働きやすさと人材の定着は、直結している。
これは、経営者や人事だけでなく、すべての働く人にとっての共通テーマです。

変化の時代に生きる、わたしたちへ

今は、価値観も働き方も、会社のあり方も、社会のルールさえも――
どんどん変わっていく過渡期。

情報を追い、動向を知り、アップデートし続ける。
キャリアコンサルタントという仕事には、そうした姿勢がいつも求められます。

うれしいことです。
でも、たまに思うんです。

キャリコンの資格とってからの方が大変。学び続けるって、けっこう大変だよね。

📎 参考リンク