環境は、子どもの主体性を支える「見えないコーチ」
先日、「オランダ流コーチング研修」第2回を開催しました。
今回のテーマは、
「子どもが自然に動き出す『環境』のつくり方」
環境から、子どもの主体性について考える時間です。
前回の研修では、オランダの教育現場を知り、
「違いを観察する」
というテーマを持ち帰っていただきました。
今回は、その後の1か月で見えてきたことをシェアするところからスタート。
「意識してみると、今まで見えていなかったことに気づいた。」
「オランダとの違いだけでなく、自分たちがすでに大切にしていることも見えてきた。」
「子どもの姿を、少し違う角度から見られるようになった。」
そんな声が次々と聞こえてきました。
学びは、研修が終わった瞬間ではなく、そのあと現場で続いていく。
そんなことを改めて感じるスタートになりました。
自分のペースで、オランダの教育現場を観察する
今回、新しく取り入れたのが、「自分のペースで観察する時間」です。
QRコードを読み取り、オランダの教育現場の写真をまとめた動画を、それぞれのスマートフォンやデバイスで見てもらいました。
一斉に同じ画面を見るのではなく、
止めてもいい。
戻ってもいい。
気になった写真を何度見てもいい。
自分が気になるところを、自分のペースでじっくり観察してもらいました。
実は、この時間そのものにも、オランダイズムを少し散りばめています。
まずは、自分で見てみる。
自分のペースで考える。
自分が気になったことを、自分で確かめる。
そして、人との対話を通して、自分にはなかった視点に出会っていく。
オランダの教育について「知る」だけではなく、こうした学び方そのものも体験していただけたらいいなと思いながら、この研修をデザインしてみました。
正解を探すのではなく、
「自分には何が見えたのか。」
それを大切にしながら、観察を進めてもらいました。
同じ写真を見ても、見えるものは違う
個人でじっくり観察した後は、グループでシェア。
同じ動画を見ていたはずなのに、気づいたことは本当にさまざまでした。
「そこを見ていたんですね!」
「私は全然違うところが気になりました。」
そんなやり取りが、あちこちで生まれます。
人によって興味も違えば、これまでの経験も違う。
だから、同じものを見ても、見えるものが違う。
一人では気づかなかったことも、誰かの言葉を聞くことで突然見えるようになることがあります。
人が集まって学ぶことの豊かさって、やっぱりこういうところにあるなぁと思います。
環境は、子どもの主体性を支える「見えないコーチ」
その後は、オランダの教育現場にある環境デザインを、一つずつ紹介しました。
時間を自分で管理するための工夫。
活動の見通しを持つためのスケジュール。
自己表現を支える仕組み。
ルールを理解しやすくする工夫。
一人ひとりの特性に合わせた環境支援。
オランダの教育現場では、子どもが動けないときに、すぐに「本人の問題」として考えるのではなく、
環境はわかりやすいだろうか。
見通しを持てるだろうか。
自分で選べるようになっているだろうか。
安心して過ごせるだろうか。
そんなふうに、環境の側から考えている場面をたくさん目にします。
今回、一番お伝えしたかったのは、
「環境は、子どもの主体性を支える『見えないコーチ』になる。」
ということ。
環境そのものが、
「次に何をすればいいか」がわかる。
安心して過ごせる。
自分で考え、選び、判断できる。
そんなサポートになっているんですよね。
学ぶことも、挑戦することも、じっくり考えることも。
どんな年齢の子どもでも、自分の持つ力を発揮できるように、環境が丁寧にデザインされています。
大人が何度も指示を出さなくても、環境が子どもの行動や自己表現を支えている。
環境そのものが、子どもにとっての支援になっているのだと思います。
「動き出したくなる環境」を発明する
後半は、グループでの探究。
テーマは、
「動き出したくなる環境」を発明する。
オランダをそのまま真似することが目的ではありません。
オランダをヒントにしながら、
今の実践をさらに豊かにするには、どんな環境が考えられるだろう。
子どもたちが、もっと自然に動き出したくなる環境って、どんなものだろう。
そんな問いを持ちながら、それぞれのグループで探究を進めてもらいました。
大きく何かを変えなくても、
見せ方を少し変える。
置く場所を変える。
選択肢を見えるようにする。
子どもが自分で確認できる仕組みをつくる。
そんな小さな環境の変化が、子どもの姿を変えていくかもしれない。
そんな可能性を感じる時間になりました。
学びは、現場で続いていく
最後は、
「今日、やってみよう!」と思った環境デザインを一つ、個人的な範囲で実践してみる。
そんな宿題を持ち帰っていただきました。
もちろん、組織の中で新しいことを実践するには、チームでの合意が必要になる場面もあります。
だからこそ今回は、自分の責任で自由にデザインできる範囲に目を向け、小さく試してみることをお願いしました。
そして、チーム全体として取り組んでいくことについては、リーダーのみなさんに引き続き対話の時間をお願いしています。
個人で試してみること。
チームで対話すること。
その両方を行き来しながら、実践は少しずつ育っていくのだと思います。
研修は90分で終わります。
でも、本当の学びは、そのあと現場で始まります。
見て、考えて、試してみる。
そして、また持ち寄って、一緒に探究する。
そんな循環を重ねながら、この研修も少しずつ育っていけばと思っています。
次回のテーマは、
「大人の在り方」
環境の次は、その環境をつくり、子どもと関わる私たち自身に目を向けます。
どんな大人でありたいのか。
子どもを、どんな存在として見ているのか。
次回も、みなさんとじっくり探究していけることを楽しみにしています。